Yasumichi Morita Art Works

EXHIBITION

Porcelain Nude

2015.11.12-2015.11.15
espace commines
17 rue Commines 75003 Paris France
世界で一番美しい曲線を求めて。

自分が今までに見てきたアートの中で、食指が動くものは、ひと目ではなんだかわからないような、答えを観る側に探させるようなもの。シルクスクリーンでもペインティングでも、それが写真であっても。僕が撮る写真も、これは身体なのか、陶器なのか、あるいは植物なのか、ランドスケープなのか、一瞬ではわからないものにしたかった。観る人の頭のなかに、“?”を与えるもの。それが、僕にとってのアート。
インテリアデザイナーとして仕事をしているときにも、“美しい曲線”を常に切り取っているような気がする。美しいものを追い続けるのは仕事でもある。でも、今回は純粋に写真で勝負したかった。だから僕のことを誰も知らないフランスでいきなり個展を開いて、純粋な感想を聞きたかった。しかもモノクロで女性の身体という、直球勝負。インテリアデザイナーではない、まったく違う別人格の森田を作り上げていきたいと思っている。丁寧に自分のコレクションを積み重ねていって、5年タームで考えるのか、あるいは10年続けるのか。一瞬のお祭り騒ぎにはしたくない。だから地道に続けていくんだろう。写真自体は、一生ものだと思っている。特に女性の身体は、おじいちゃんになっても撮ることができるから。とても素敵なライフワークを見つけたなと思っている。
美しい曲線を探して、追いかけていって、必然的に女性の身体にたどり着いた。そのミニマルさの中には、僕が求めるものがすべてある。弾力があるのに固すぎない、柔らかさを感じるのにいやらしさの存在しないディテール。いや、余計にエロチックなのかもしれない。やっぱり、下世話な欲望は時に圧倒的に美しくなる瞬間があると思う。実際に個展を観た人の中に、「禅を感じる」という感想をくれた人がいた。日本らしさを感じたのだと思うけれど、“禅”という言葉には、その欲望が反転する瞬間という意味も入っているんじゃないかな。
何もないのに、すべてがある。